赤川次郎さんの『真実の瞬間』を読みました。
あらすじ
保科伸子がハネムーンから帰国した日の夜、父の羽川重信が家族を集めて夕食会を開いた。
その席で羽川は、20年前に殺人を犯したことを告白し、それを世間に発表すると言いだした。
長男の羽川靖夫はそのことをTV局でディレクターをしている大沢公子に話してしまう。
公子は自分が担当している番組の中で、羽川に告白するよう持ちかける。
感想
最近、事件の加害者家族について考えているタイミングで、この作品と出会いました。
もし私が当事者なら、加害者が犯した罪は自分とは無関係だと言うでしょうし、もし傍観者なら、あいつが加害者の家族なんだと指差すことでしょう。
現在の日本の法律では、加害者の家族であるという理由だけで、何か差別を受けることはありません。
しかしながら、肩身の狭い思いをしながら生きている人がいることは事実です。
それをどうするべきなのか、何を変えるべきなのかということを、最近ぼんやりと考えることがあるのですが、残念ながらこの作品からもその答えを得ることはできませんでした。
しかし、20年前の殺人を公表すると言い出した人の子供たちの反応は、事件加害者の家族がどういう扱いを受けるのかといったことを恐れる姿です。
赤川次郎さんが時折書かれる、メッセージ性の強い作品の1つなのかなと感じました。
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