赤川次郎さんの『非武装地帯』を読みました。
あらすじ
浅川家の主・克哉が見つけてきたのは、郊外に建つ豪邸とも呼べるような物件。
格安で手に入れたその家に引っ越した浅川家だったが、その家は暴力団の前会長が暮らしていた家だった。
しかも、前会長の死後、組は2つに分裂して、勢力争いをしていた。
その2つの勢力が話し合いをするための場として、浅川家が使用されることになり、武器の所持も禁じた「非武装地帯」となった。
感想
赤川次郎さんらしい、突拍子もない設定の作品です。
暴力団通りのもめ事を、高校2年生のみどりが独自の視点で風穴を開けるあたりは、宗田理さんの「ぼくらシリーズ」を彷彿とさせるでしょうか。
暴力団同士の抗争という血なまぐさい事件のはずなのに、どこかほんわかとした、血が通った作品になっているところが私好みです。
暴力団の抗争というと、『セーラー服と機関銃』のめだか組に勝る物はないと思ってきましたが、この作品も良いなぁって。
この作品の中で1番記憶に残ったのが、「先生、いつか言ったもん。『先生とみんなが幼稚園なのよ』って。『このお教室はただのいれものなの。先生や、みんな一人一人が幼稚園なのよ』って」という台詞。
「幼稚園」を「暴力団」に置き換えても良いし、「学校」や「会社」に置き換えても良い、素敵な言葉じゃありませんか?
そこを勘違いすると、間違った道に進むことになるんだよなって、改めて感じさせられます。
ちなみに、この台詞を言ったのは、5歳の男の子ってことになっています。
普段は用事っぽいしゃべり方の子が、この台詞の時だけ熱のこもった話し方になっていたのが印象的でした。
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