読む世代によって感じ方が変化する、一生涯手元に置いておきたくなる1冊。
子供の時はおとぎ話に感じるのに、大人になって読むと恋愛ストーリーに感じてしまう…
そんな、人生の節目節目で読んでしまう、私が1番好きな本です。
佐藤さとるさんの『だれも知らない小さな国』を読みました。
あらすじ
小学3年生だったぼくは、自分だけの場所を探して、三角平地を見つける。
そこでふきをとっていたおばあさんから、ここには小人が住んでいるという話を聞く。
そして夏休みのある日、女の子が川に落とした靴を追いかけていくと、靴の中から数人の小人が僕に向かって手を振っていた。
夜間の専門学校に通い出すと、ぼくは三角平地に隣接する小山を将来売ってもらうように、地主と約束を交わす。
感想
主人公の”ぼく”が、小指ほどしかない小さな人「コロボックル」たちと繰り広げるファンタジー。初めて読んだのは小学校の中学年の頃だと思いますが、その頃は小人が出てくる”水戸黄門”のような物語のような印象を受けたのですが、思春期を迎えると一転、ラブストーリーとしての1面が見えてきます。さらに、大人になってから読むと少年時代に戻ったようで心が洗われたような気分に。そして、わかっているのに最後の場面で胸がキュッとなってしまいます。
また、自分の周りにもこんな小人たちがいやしないかと真剣に探し回ったものです。いて欲しいたと願っているのは今でも変わりませんが…
初版は1959年(昭和34年)に自費出版。同じ年に講談社から出版された後、それから途中挿絵が変更になったりしながら版を重ね、現在もなお販売されているロングセラーです。私は姉から譲り受けた講談社の単行本を小学生から高校生の間に何度も手に取り、その後2010年に発行された講談社文庫で再びこの物語に出会うことになりました。
現在は私が今所有している講談社文庫、挿絵を描き直した新イラスト版を読むことができます。
本当は小学2年生の息子にも早く読ませてあげたいのですが、習っていない漢字が多く、まだ少し難しいかなぁと思っている所です。
なお、この話には続編があり、『豆つぶほどの小さないぬ』、『星からおちた小さな人』、『ふしぎな目をした男の子』、『小さな国のつづきの話』、『コロボックル物語〈別巻〉小さな人のむかしの話』と続いていきます。
コメント